今月の主題 臨床医のための呼吸調節と障害
呼吸調節障害の基礎知識
呼吸困難感と呼吸調節
岡田 泰昌
1
,
柏木 政憲
2
1慶應義塾大学月が瀬リハビリテーションセンター内科
2慶應義塾大学医学部麻酔科
pp.1096-1101
発行日 2004年7月10日
Published Date 2004/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402100864
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ポイント
呼吸困難感は,呼吸状態が不適切であることを知覚させるべく脳が発する警報であり,また呼吸状態を改善させるためのフィードバック機構を構成するものである.
下部脳幹内で形成された呼吸神経出力は,脳神経を介し上気道の開存性を規定するとともに脊髄神経を介し呼吸筋を駆動するが,同時に呼吸神経出力・呼吸努力の程度を反映する感覚・motor command corollary dischargeとして高位中枢へ投射される.
運動やさまざまな刺激に反応して呼吸神経出力と並行して増強し,高位中枢へ投射されたmotor command corollary dischargeと,実際に出力された機械的換気運動状態についての統合的モニター感覚・integrated mechanical respiratory sensationとが高位中枢において対比され,そのズレが大きくなると呼吸困難感が出現・増強する.
体液酸素分圧低下や二酸化炭素分圧上昇などの呼吸化学刺激強度についての高位中枢における統合的モニター感覚・integrated chemical respiratory sensationの増大は呼吸困難感を増強させる.
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