呼と循ゼミナール
Left posterior hemiblock
中村 芳郎
1
1慶応義塾大学内科
pp.840
発行日 1974年11月15日
Published Date 1974/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202685
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左脚前枝(索)ブロック,左脚後枝(索)ブロック(LPH)の概念はすでに教科書的記載のなされたものとなり,その存在は否定されることはないものと考えてよかろう。ところが,その臨床診断となるときわめて困難な問題が多く,1例毎にその診断の正確性を論じることが可能か否か疑問を持たざるをえない。ただし日常よく出会う,いわゆる不完全右脚ブロックで意味づけがよくわからない例のことを考えると,臨床心電図診断の持つ限界を意味していることなのかもしれない。不完全右脚ブロックの伝導異常の部位はどこかといった議論を12誘導心電図からどこまでできるであろう?
右脚ブロックを伴なったLPHはあっても,pure LPHは極めて稀とされる。その理由として,左脚後枝は血流支配が左冠状動脈,右冠状動脈の二重支配になっていること,その太さ,血行動態の影響の受け方などから,心室刺激伝導系のうちで最も障害を受けない部分であること,左脚後枝が侵されるような障害がその部にある場合は右脚も障害され,右脚ブロックとLPHが同時に出現することが多くなるといわれる。
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