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刺激伝導系は基本的には,右脚,左脚前枝,左脚後枝の3本のsystem,すなわちtrifascicularsystemとして理解されます.今回とりあげたテーマは,最近いろいろと問題となっているHemiblockについてです.Hemiblockとは,2本の左脚分枝(前枝と後枝)のうち,どちらかがブロックされた場合をいいます.てのHemiblockを充分理解していただくために,前々回(6月号),ならびに前回(7月号)の本講座で述べた刺激伝導系の解剖の項(付録)をもう一度見直していただきたいと思います.今回は誌面の制限もありますので,左脚前枝ブロック,左脚後枝ブロックの心電図についての一般的な説明は付録として記載し,てこでは左脚前枝ブロック(Left anterior hemiblock:LAH)に右脚ブロック(Right bundlebranch block:RBBB)が合併した場合のみについて解説します.
このLAH+RBBBはtrifascicular systemのうちの2本がブロックされており,残りの1本,すなわち左脚後枝のみにより,かろうじて上方から心室への刺激伝導が行なわれているわけで,はなはだ不安定な状態といえます.もし左脚後枝にまで病変が及べば,完全両脚ブロックになり房室結節における房室完全ブロックと同じ病態像を呈するてとになります.確かに,このLAH+RBBBの症例の多くに,その臨床経過中にStokes-Adams発作を認あています.そのために,このLAH+RBBBは人工ペースメーカーの植込みの問題にもからんで,臨床的には大変重要な疾患といえます.以上のような理由から,ここではLAH+RBBBの症例をとりあげてみました.まず,ベクトル心電図のループ表示の特徴について述べることにします.
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