Cyclopedia Medicina
Anterior hemiblock
下村 克朗
1
1東大・第2内科
pp.123-124
発行日 1975年1月10日
Published Date 1975/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402205759
- 有料閲覧
- 文献概要
心室内の興奮伝導障害は房室結節から左右心室のPurkinje線維に至る特殊筋系の経路に生ずる傷害によって惹起される.房室結節につづくHis束は左脚主幹を作る線維を出したのち右脚に移行する.左脚はその後間もなく前枝と後枝に分枝し,心室中隔を扇状に拡がったのち前枝は左室の前側壁に,後枝は後下壁に分布し,他方,右脚は細長い束となって右室に下がり,右室のPurkinje網に移行する.
左脚にブロックが生ずる場合,その解剖学的な関係から,①主幹,②前枝,③後枝の3つのいずれかに起こることが考えられる.①の場合は通常の左脚ブロック型をとるのに対し,後2者の場合はブロックされた側の心室壁の興奮が遅れることによってQRSに軸変化を生ずることが特徴である.左脚の分枝ブロックがQRSの電気軸を変化させることは古くから知られていたが,従来の脚ブロックの概念に,さらに左脚の前後の分枝ブロックの概念が加えられるようになったのは比較的最近のことで,前枝の場合,left anteriorhemiblock(Rosenbaum),left anterior fascicular blockなどと呼ばれる.anteriorの代わりにsuperior,fascicularの代わりにintraventricularなどの用語もある.
Copyright © 1975, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.