呼と循ゼミナール
冠拡張薬
中村 芳郎
1
1慶応義塾大学内科
pp.662
発行日 1974年9月15日
Published Date 1974/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202664
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冠拡張薬と称される薬剤の種類は多く,しかもわが国では臨床的に非常に多量に使用されている。しかも,その有効性がこれほど疑われている薬剤も少ない。
いわゆるcoronary vasodilatorとして,nitroglyce—rinなど明かな抗狭心症作用のある薬剤である亜硝酸化合物を含めるかどうかは,やや問題がある。それは冠血流量を測定しながらnitroglycerinを犬に投与すると,冠血流量の増加はあまり著明でなく,その他の冠拡張薬のように冠血流量が増加し血圧の変化が少いのとは違った状態が作られるためである。血行動態からいえば,灌流圧が不変であるのに血流量が増加した場合に拡張が起ったと考えるのが普通であろうから。
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