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診療指針
冠拡張剤の使い方
Coronary Vasodilator.
木村 登
1
,
関 明
1
Noboru Kimura
1
,
Akira Seki
1
1久留米大学第3内科
1The 3rd Dept. of Internal Medicine, School of Medicine, Kurume University.
pp.515-524
発行日 1965年7月15日
Published Date 1965/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201470
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はじめに
冠拡張剤とは血管拡張剤の中で特に冠動脈癒拡張させ,冠循環の障害があると考えられる狭心症とか,冠疾患に用いられるものを呼んでいる。1768年William Heberdenによつて狭心症が一疾患単位として認められてから100年後1869年T.L.Brunton1)によって亜硝酸アルミがその治療薬として登場した。次いで1879年W.Murrell2)によりニトログリセリンが使用され,引き続き亜硝酸ソーグ(1883),ヂュウレチン(1894),Eryth—rol tetranitrate(1895)等が次々に狭心症の治療に使用され始めた3)。最近ではその治療薬の種類も増大の一途をたどるのみで,非常に多種多様の薬物が臨床に導入せられている。
いわゆる冠拡張剤が,実験的には冠循環血量を著明増大しても必ずしも臨床前に著明な効果が認められるとは限らない。現在100%の臨床効果を有するものは無いのが現状であの,ことに臨床効果の判定方式が非常に困難であり,共通の結果が得られていない。これは狭心症ないし冠不全を有するいわゆる虚血性心臓病の基礎に,短時間においては不可逆的な変化である冠動脈アテローム様硬化症が存在するためであり,また狭心症があくまで自覚症症候群で,これを客観的に評価出来ないためでもある。
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