薬の反省
冠拡張剤
守 一雄
1
1横浜市大内科
pp.352-353
発行日 1966年3月10日
Published Date 1966/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402201211
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冠動脈は心臓に血液を供給し,必要なる酸素と栄養を補給する。冠動脈は神経刺激,血中の化学成分,血圧,脈拍数などによって変化する。交感神経刺激によつて拡張し,迷走神経刺激によって収縮する。心臓の仕事量が増加し,局所に代謝産物が多くなり,供血が不十分であると酸素欠乏が起こり,これが刺激となつて冠動脈は拡張する。窒息で血中のCO2が増すと冠循環量が増加する。
酸素欠乏によつて冠循環が増加するのは,代謝産物の作用によると考えられている。この代謝産物はアデノシンであろうとされ,心筋細胞でアデノシン三燐酸(ATP)がADPからさらにAMPとなり,アデノシンとなり,アデノシンが心筋細胞から出て血管壁にはたらいて拡張させる。アデノシンがさらに血管内に入るとイノシンとなつて無活性となる。
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