呼と循ゼミナール
原因不明の肺高血圧について(2)—肺静脈閉塞性疾患
原沢 道美
1
1東京大学老人科
pp.695
発行日 1974年9月15日
Published Date 1974/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202669
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臨床的に原発性肺高血圧症と診断された156例を組織学的に検索したWagenvoortらは,うち110例は同じ範疇に入る一つの疾患単位であることを明らかにし,それに対し血管攣縮性原発性肺高血圧症なる診断名を提唱していることについては,既に前回に述べた。さらにその他の46例について検索したところ,慢性肺塞栓症が31例,慢性肺静脈性高血圧が5例,慢性閉塞性肺疾患が3例,サルコイドーシスおよび肺住血吸虫症がそれぞれ各1例に認められ,以上の計41例は既知の心肺疾患に続発した肺高血圧症であった。しかし残りの5例は,上述の血管攣縮性原発性肺高血圧症とも異なるのみでなく,原疾患も不明であった。そこで,これらの症例はその主な病変が肺静脈また肺小静脈にあるところから,肺静脈閉塞性疾患と呼び,それらについても種々の検索を加えているので,以下少しくその成績を紹介してみたい。
その後の2例を加えた計7例の年齢をみると,1例は生後8週,他の1例は45歳,その他は9〜16歳であった。性別は男2例,女5例である。全例初発症状は労作時息切れで,うち3例は感染性疾患に罹患後数週以内に症状が出現し,生後8週の例では誕生時より呼吸困難の状態にあったが,母親が妊娠34週目に上気道炎に罹患していた。症状出現から死亡までの間隔は,1年以内のものが6例であったが,最も年長の1例は8年の経過をとった。
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