今月の主題 循環器薬の使い方 2003
その他の循環器薬の使い方
冠拡張薬:硝酸薬
長山 雅俊
1
,
住吉 徹哉
1
1榊原記念病院循環器内科
pp.1385-1387
発行日 2003年8月10日
Published Date 2003/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402102171
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硝酸薬は抗狭心症薬として古くから繁用されてきたが,狭心症発作寛解のための頓用薬としての立場はいまだに揺るぎようがない.また薬理作用の多彩さから,狭心症のみならず心不全における血管拡張薬としても頻用されており,心筋梗塞後の左室リモデリングの抑制についての報告も散見される.本稿では臨床医が押さえておくべき硝酸薬の薬理作用や製剤・剤形の特徴,病態による使い方,耐性対策および最近の知見について述べる.
硝酸薬の作用機序と耐性発現の機序
硝酸薬の血行動態や狭心症に対する臨床効果は,主に静脈系や動脈系を拡張したり,冠動脈を直接拡張することによりもたらされる.この血管拡張の機序は完全には解明されていないが,cyclic GMPの生成と密接に関係している.硝酸薬が血管平滑筋細胞に入ると最初に亜硝酸塩,次いで酸化窒素になり,さらに血管平滑筋レセプターのSH基と結合してS-nitrosothiolに変換される.このS-nitrosothiolがグアニレートシクラーゼの活性を亢進してcyclic GMPの産生を高める1).cyclic GMPは細胞内のCa2+濃度を低下させることにより血管平滑筋を弛緩させ,血管を拡張させる.硝酸薬の耐性は,この一連の反応がどこかで低下することにより発現すると考えられる.
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