特集 血液測定
超音波ドプラー法の応用
理論と評価
仁村 泰治
1
1大阪大学医学部阿部内科
pp.552-559
発行日 1974年8月15日
Published Date 1974/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202646
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超音波干渉法1)によって撓骨動脈,上腕動脈などの拍動曲線記録を検討していた故里村はその際予期しなかった雑音的な出力があることに気づいた。そこで独自にこの出力を分析し,それが血流により超音波のドプラー効果をうけることに基づくものであることを知り,超音波ドプラー法による血流検知の概念をもつに至った2)。この方法は金子3)4)らによって脳血流の分析に応用され,臨床における非観血的血流検査法として認識されるようになった。その頃から米国でもRushmar, Franklinら5)によって検討がはじめられ,次第に非観血的血流測定法として広くとり入れられるようになってきた6)〜9)。ドプラー効果の由来については,里村2)ははじめ血流中の乱流あるいは流速の異った層間からの反射が関係しているのではないかと考えたが,加藤ら10)によりそれは血球からの反射に基づくものであることが明らかにされた。
血流測定法としての分野が次第に確立されるとともに,ハード的にもいろいろの改良がほどこされてきた。たとえば加藤ら11)12),および中山ら13),McLeodら14)により独立に方向指示の方法が考案された。さらに運動体の速さに加えて,それまでの距離についての情報をも得るためにパルス・ドプラー法15),M系列ドプラー法16)などが試みられている。
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