特集 血液測定
巻頭言
ヒトでの血流測定に望む
沖野 遥
1
1東海大学医学部生理学
pp.551
発行日 1974年8月15日
Published Date 1974/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202645
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血流測定上の最近の話題を考えてみると,最終目標であるヒトでの定量性に優れた測定法の開発とその測定結果の評価につきる。Fick法や色素稀釈法はともかく,これらは酸素なり色素なりをIndicatorとして血流中の濃度や含量の形で測定することになる。従ってIndicatorとしてRI,熱,不活性ガスなどの血液固有の性質と異った物質を混合して稀釈をみるのも原理的には前2者と同一といえる。比較的新らしい過去をこの目的からふりかえると,血流の総量測定にはじまって局所臓器への分布流量,更に臓器内の部分差などの測定が臓器機能の分析が発展するにつれて要求されてきた。
血流の本来の目的が末梢毛細管床における代謝,交換であることから,測定法の開発の方向としてますますfocal flowを求あるようになるのは当然といえる。この時点でヒトの場合の障壁は,第1に測定局所に直達できないこと,第2にこの毛細管床の定量的血流測定が最大の難題であるという命題がある。
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