Japanese
English
綜説
無気肺—界面化学的立場からみた肺胞の不安定性
Atelectasis
吉田 清一
1
Seiichi Yoshida
1
1東京大学医学部第三内科学教室
1The 3rd Department of Internal Medicine, Faculty of Medicine, Tokyo University
pp.192-200
発行日 1973年3月15日
Published Date 1973/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202469
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
atelectasisは,語源的には"不完全"な"不十分な"という意味のatelesと,"拡張"を意味するectasisとの合成語であり,厳密には,かつて空気でふくらんだことのない肺組織、すなわち,胎児にみられる無気肺に適用される言葉であり,脱気によって生じた場合には,collapse"虚脱肺"という言葉を使う方がより正確であるが,日本語でもこの点混同しており,日常遭遇することの多い虚脱肺を無気肺とよんでいる。本稿でも慣習に従って広義に解釈して,あえて虚脱肺とせず,"無気肺"の用語を用いた。
無気肺は,1845年Mendelssohnが気管支の閉塞によって発生する機序について発表して以来,日常臨床的に遭遇することの多い所見であり,急速かつ広範に発生すれば著しい呼吸困難をみることになり,慢性に存在すればシャント血流の増大による低酸素血症の原因となる。最近はこの発生機序に関して肺の表面活性の観点から検討され,病態生理ならびに病態生化学的に興味ある知見がえられつつある。
![](/cover/first?img=mf.1404202469.png)
Copyright © 1973, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.