増刊号 呼吸機能検査 BASIC and PRACTICE
Part3 フィジカルサイン&病態で読み解く呼吸器疾患
4.集中治療室などのベッドサイドで呼吸療法が必要になる疾患
無気肺—術後無気肺,その他が原因のもの
小谷 透
1
1昭和大学医学部麻酔科学講座
pp.1330-1334
発行日 2017年10月15日
Published Date 2017/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542201409
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症例
58歳,男性.
主 訴:呼吸困難感.
既往歴:喫煙20本/日×25年間.4週間前から禁煙中.
経 過:2カ月前の健診で血尿を指摘され,精査の結果,左腎細胞癌と診断されました.右側臥位で全身麻酔下に左腎摘出術を施行し,術後,集中治療室(intensive care unit:ICU)に入室しました.入室時の所見では血圧122/66mmHg,心拍数75回/分,呼吸数18回/分.1時間前から呼吸数が24回/分に増加しましたが,経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)は酸素5L/分投与下に98%と変化はありませんでした.創部痛もあり,手術室で装着した経静脈的自己調節鎮痛法(intravenous patient-controlled analgesia:iv-PCA)のボーラス投与を使用したところ,痛みが軽減したため経過を観察していました.しかし,再度呼吸困難感を訴えるようになり,SpO2も95%に低下してきました.念のため,胸部X線検査を行ったところ,右下肺野の透過性低下と右横隔膜の挙上が確認でき,これをもとに無気肺と診断しました.
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