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特集 呼吸機能障害
第17回日本医学会総会・44シンポジウムより
呼吸機能障害と肺胞界面活性
Alveolar Surface Activity and Respiratory Impairment
吉村 正治
1
Masaharu Yoshimura
1
1日本医科大学第二内科
12nd Department of Internal Medicine, Nippon Medical School
pp.737-741
発行日 1967年9月15日
Published Date 1967/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201811
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はじめに
肺胞上皮細胞ないし肺胞細胞の表面は,種々の物質の混合溶液である表面膜surface filmで被われる。この溶液膜と肺胞気の間の気相—液相界面air-liquid inter—faceに働く界面張力,すなわち溶液層の表面張力は,その表面を縮小せんとする力で,つまり肺を収縮せしめる力となる。
健常な人の肺表面溶液層中には,表面活性物質sur—face active materialsが存し,肺胞気を呼出して肺が容積を縮小し肺表面面積が減少するさいに,その表面張力を著しく低下せしめ,肺のatelectasisを防止するに役立っているし,吸気にさいしては,肺換気力学上著しい吸気抵抗を生じないよう,肺表面積の増大にともなう肺表面張力の強い増加を抑制している。こうしてこの肺表面活性物質の濃度およびactivity如何が,肺胞界面活性を左右する最も支配的要素であり,もし肺胞界面活性の低下が生ずるなら,それは当然肺表画張力を増大せしめ,肺の換気力学的機能に影響する1)2)。
以下は呼吸機能障害をもつ,各種の慢性汎発性気道閉塞性肺疾患患者37例を対象に,上記肺長面張力を測定しその肺胞界面活性病的変化の有無,程度などを調査し,呼吸機能障害といかに関連しているかを検討した成績である。
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