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講座
ヘモグロビンのkinetics(Ⅰ)2, 3DPG
2, 3DPG
山村 秀夫
1
Hideo Yamamura
1
1東京大学医学部麻酔科教室
1Department of Anesthesiology, Faculty of Medicine, University of Tokyo
pp.197-203
発行日 1972年3月15日
Published Date 1972/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202359
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Ⅰ.Hbの酸素解離曲線
われわれの体は正常の場合1分間に酸素を約250ml消費している。この場合の酸素の組織への供給は心臓から血液が毎分約5l拍出されることにより行なわれる。そしてこの際,動脈血のHbは96%酸素と飽和しているから100ml中に約20mlの酸素を含有していることになる。したがって1分間に約1lの酸素が心臓から送られることになるが,この中で利用されるのはわずかに250mlで残りの大部分は再び肺にもどってくるのである。
いろいろのPO2のときにHbの酸素飽和度を示す曲線を酸素解離山線という。これは図1に示すごとくS字状の曲線であるが,これには生理的の意味がある。動脈血PO2(100mmHg)の付近では曲線の走行は平坦となり,肺胞空気のPO2が少しぐらい低下してもHbの酸素飽和度はほとんど変らない。これに反して混合静脈血のPO2すなわち組織のPO2(40mmHg)では山線は急峻な走行を示すために,ここのPO2がわずかに低下してもHbの酸素飽和度はひどく低下し,大量の酸素が遊離されて組織に供給されることになる。
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