増刊号 尿検査法
II.各論
3.尿蛋白
(6)ミオグロビン,ヘモグロビン
片山 善章
1
1国立循環器病センター臨床検査部
pp.84-86
発行日 1992年5月15日
Published Date 1992/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543901076
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はじめに
尿中ミオグロビンおよび尿中ヘモグロビンは,臨床的にはそれぞれミオグロビン(Mb)尿症とヘモグロビン(Hb)尿症として取り扱われ,種々の臨床症状を呈する.また,同時に両者が起こる場合もある.
原因疾患 ミオグロビンは筋肉(骨格筋,心筋)の酸素転送色素であるため,筋肉の傷害により崩壊壊死を起こした場合にミオグロビンが血中に逸脱(血清ミオグロビン)し,さらに尿中に排泄されるのである.したがって筋肉の傷害,なかでも骨格筋傷害では筋ジストロフィを伴う疾患(遺伝性ミオグロビン尿症),運動や行軍などでしばしば起こる運動性ミオグロビン尿症,行軍性Mb尿症(これらは特発性ミオグロビン尿症として分類される),そして心筋傷害では心筋梗塞(虚血性ミオグロビン尿症)が原因疾患としてあげられる.その他,アルコール,一酸化炭素,バルビタールなどの中毒で起こる場合の代謝性ミオグロビン尿症がある.
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