Japanese
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講座
給湿
Supply of Moisture
侘美 好昭
1
Yoshiaki Takumi
1
1名古屋市立大学医学部麻酔学教室
1Department of Anesthesiology, School of Medicine, Nagoya City University
pp.209-215
発行日 1973年3月15日
Published Date 1973/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202471
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ここでいう給湿とは吸気に対する給湿の意である。吸気のconditioningは上部気道構造が持つ重要な生理機能の一つであるが,その構造上および生理的条件の妙や微生物等の異物の侵入に対する防衛機能を除くと,上部気道が吸気に対して行なっていることは加温加湿というごく単純な物理的操作にすぎない。上部気道が正常な機能を維持している限り生体に障害を与えるような吸気のconditioningの失敗が起こるはずは無いかにみえるが,実際には吸気を前もって加湿しておくことが術後の肺合併症の予防や治療に有効であり,特に小児外科領域において近年重要視されるようになっている1)2)。かかる給湿が有効であるためには上気道の持つ生理的な給湿量では不足するような事態が発生したか,または上気道自体の機能が低下したかのいずれかが起こっていなければならない。吸気の加温加湿は上気道内だけで終るものではなく,程度の差こそあれ末梢気道までの全気道内で行なわれている8)。したがって上部気道は下部気道が正常な生理機能を保持している時にのみ至適な給湿力しか持たず,下部気道に異常が発生すれば上気道の給湿能では不足することも当然起こりえる。他方,上気道自体の機能低下も生体自体の脱水,胃管等による鼻腔閉鎖,乾燥した酸素の鼻や咽頭内吹き込み等で容易に起こるものである。
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