Japanese
English
綜説
呼吸反射にかんする頸動脈小体化学受容体の新しい問題点
Critical Review on Newer Knowledge of the Carotid Body Chemoreceptors with Special Reference to the Respiratory Reflex
斎藤 十六
1
Soroku Saito
1
1前:千葉大学医学部内科
pp.1050-1058
発行日 1970年12月15日
Published Date 1970/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202211
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はじめに
呼吸反射を綜説するように編集のかたからいわれた。わたくしは,仙台で行なわれた第10回日本胸部疾患学会のシンポジウムⅡ「呼吸反射」を拝聴し,それにもとづいて,投稿しようと思っていた。しかし,現在,わたくしの身柄には拘束があり,当日出席することができなくなり,やむをえず表記のような題目で,現在問題となっている点を綜説した。なぜなら,予稿集にかんするかぎり,この問題はとりあげられないようであったから。
末梢化学受容体,ことに頸動脈小体にかんする知見は,この40年間ほぼ安定した流れのもとに研究されてきた。しかし,電子顕微鏡による観察,神経線維の電気生理学,さらには,分子生物学も含めた神経生化学などの進歩によって,この10年間に多くの補足と改訂が行なわれ,根本的といっても,いいすぎではないほどの改革が必要になりそうである。しかし,まだ,必要であるといいきれない現在,各入の主張には不一致な点がすくなくない。わが国では,この方面のこうしたことが,あまりとりあげられていないので,この小文では,つぎの項にかぎって述べることにした。
1.頸動脈小体の微細構造
2.頸動脈小体の自然刺激(PO2,PCO2,およびpH) が直接,求心神経終末に働くか,どうかの問題
3.頸動脈小体の循環をブロックする効果
4.Loewi型の実験と,コリン作動性伝達の可能性い かん
5.アドレナリン作動性伝達の可能性いかん
6.頸動脈小体の遠心性神経終末というもの
7.頸動脈小体のⅠ型細胞というもの
8.頸動脈小体の化学受容性も多束系によって行なわ れる可能性
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