Japanese
English
綜説
中膜壊死
Medionecrosis
細田 泰弘
1
Yasuhiro Hosoda
1
1慶応義塾大学医学部病理学教室
1Department of Pathology, Keio University School of Medicine
pp.1059-1068
発行日 1970年12月15日
Published Date 1970/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202212
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はじめに
動脈中膜には結節性多発性動脈炎その他の壊死性血管炎の際に見られるようなfibrinoid necrosis類線維素壊死や32),高安動脈炎で見られるような乾酪壊死に類似した凝固壊死50)が発生することが知られている。
しかし本稿でいう"中膜壊死"はこのような広い意味での"中膜の壊死"ではなく剥離性動脈瘤の発生と密接に関連するとされ,時にはその原因とさえ考えられている"特発性嚢胞状中膜壊死"とよばれる変化が中心である。
従来,この変化は?離性大動脈瘤に特異的なものとする見解が有力であった。事実,現在でも病理学教科書の中には,いわゆる"Erdheimの病変"といわれるものを特異的な変化とし,また原因として挙げているものが少なくない。しかし最近では,このような考え方を訂正せざるをえないような事実が次々と報告されつつある。
以下,中膜壊死についてその形態学,その成因,さらに?離発生との関係などを中心にして述べたい。
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