巻頭言
化学受容反射について
齋藤 十六
1
1千葉大学医学部内科
pp.194
発行日 1954年7月15日
Published Date 1954/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200158
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スペインのde Castroが司会して,終戦後おこなわれた末梢化学受容体の綜合研究が発表され,Acta physiologia Skandinavia (1952)に抄録されている。2年まえにたのんであつた雑誌を,このほど,やつとよむことができた。そこには大きくわけて二つの主流があるように思われる。No—bel賞をうけたC. Heymansの業績が中心になつているのは当然である。われわれが学校でならつた呼吸・循環生理にかんするHaldane,Rosenthal, Wintersteinの調節説は大きな改革を必要とし,しかも,そのことを,教科書などにも,はつきり書かなければならなくなつた。Grayの多因調節説などは,常識的ではあるが,いろいろの因子を平等にならべるだけで,そのうちの重要性,または重要性の生じる場合については,のべていない。この点について,もつと,はつきりさせようとし,はつきりものをいつている人は,C. He—ymansらよりも,アメリカのGesell,Bernthal, Winderらと,Schmidt,Comroeであろう。これらの高名な研究者も,かつてはHaldaneらの学説に傾倒していた。
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