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特集 右心と左心
慢性肺性心の左心と右心
Left and right heart in chronic cor pulmonale
山崎 元
1
,
継 健
1
,
中村 芳郎
1
Hajime Yamazaki
1
,
Takeshi Tsugu
1
,
Yoshiro Nakamura
1
1慶応義塾大学医学部内科
1Dept. of Med., Keio Univ. School of Med.
pp.325-331
発行日 1975年4月15日
Published Date 1975/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202749
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慢性肺性心(肺性心)の診断にあたって,多くの人々のよりどころとしている本症の定義は,1961年のWHOの専門家委員会1)が示したそれであろう。すなわち,「肺の機能および/または構造に影響を与える疾病の結果,起った右室の肥大をいう。ただし左心障害あるいは先天性心疾患による右室肥大を除く」とされる。ここで,右室肥大という解剖学的所見を定義としてとりあげている点が,臨床家に問題を与えた。右室肥大の決定が容易なものではない上に,これを臨床的に正常と異常との問に画然した線を引くことは不可能と考えられるからである。次に,臨床家にとってはより容易につかまえられる生理学的変化と右室肥大との間に1対1の対応がない点も問題である。肺性心の病態を形成する重要な因子の肺高血圧症の成因がpolygenic2)である以上,同じ右室肥大に対して種々の病像があったり,右室肥大の形態学的特徴が種々であってもやむをえない。
WHOの定義で除外された中の"左心障害のある場合"に関しても,肺性心の解剖例に左室肥大の存在することがあるとの報告3-6)により,肺性心を単純なisolated right ventricular impairmentないしはfailureと考えることに疑問を生じさせた。
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