Japanese
English
綜説
表面張力と肺弾性
Surface Tension and Lung Elasticity.
吉田 清一
1
,
福島 保喜
1
,
村尾 裕史
1
,
原沢 道美
1
Seiichi Yoshida
1
,
Yasuki Fukushima
1
,
Hiroshi Murao
1
,
Michiyoshi Harasawa
1
1東京大学医学部中尾内科
1The 3rd Dept. of Internal Medicine, Faculty of Medicine, Univ. of Tokyo.
pp.76-86
発行日 1964年2月15日
Published Date 1964/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201287
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I.はしがき
肺はガスを含む臓器であり,肺胞組織は常にガスに接して,ガス交換が行われている場所であることは今更いうまでもない。一方,気体と液体との境界面においては,表面張力が働く事は物理学の教える所である。しからば肺胞表面において気体が細胞表面の組織液に接する以上,その境界面で表面張力が働くだろう事は充分想像される。数億といわれる肺胞単位の数からすれば,この力の綜合されたものは,肺の生理学,特にそのメカニクスに何らかの影響を与えるだろうとして,1929年Von Neergaardは,この表面張力と肺弾性の問題を最初に理論的に体系づけ,実験的に証明した1)。その画期的報告は現在でもこの方面の研究の一つのバイブルとなつているが,その後E.P.Radfordが1954年Von Neergaardの仕事を発展させて,米国における最近の進歩の端緒を作りあげる迄の約1/4世紀の間,この領域での報告は驚く程少い。爾来,約10年間に米国ではE.P.Rad—ford,J.Mead,J.L.Whittenberger等のHarvardのグループと,J.A.Clements,E.S. Brown等のArmy chemical centerの生化学者グループにより,又英国ではPattle等によつて大きな発展がもたらされた。
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