Japanese
English
臨床
肺疾患と血清蛋白質—肺の問質性病変における高γグロブリン血症とその臨床的意義について
The Serum Protein Patterns in Pulmonary Diseases:On the Hypergammaglobulinemia in Pulmonary Interstitielle Lesions and its Clinical Significans
三上 理一郎
1
,
桃井 宏直
1
,
今村 幸雄
1
,
長沢 潤
1
,
吉田 清一
1
,
吉良 枝郎
1
,
福島 保喜
1
,
北村 諭
1
,
荒井 達夫
1
,
山中 晃
2
Riichiro Mikami
1
,
Hironao Momoi
1
,
Yukio Imamura
1
,
Jun Nagasawa
1
,
Seiichi Yoshida
1
,
Shiro Kira
1
,
Yasunobu Fukushima
1
,
Satoru Kitamura
1
,
Tatsuo Arai
1
,
Akira Yamanaka
2
1東京大学医学部中尾内科
2東京大学医学部病理学
13rd Department of Internal Medicine, Faculty of Medicine. University of Tokyo
2Department of Pathology, Faculty of Medicine, University of Tokyo
pp.559-573
発行日 1967年7月15日
Published Date 1967/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201790
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はじめに
編集者から与えられた題は,"血清蛋白質と肺疾患"と書かれてあった。無ガンマグロブリン血症例は気道の慢性細菌感染症にかかりやすいことが臨床的特徴とされているが,このような興味はあるがまれな病態を主に扱うのであろうか。迷ったあげく,名詞をいれかえて"肺疾患と血清蛋白質"としてみた。どのような疾患がこの題目の中に含まれるか,Wuhrmanの"The human blood proteins (1960年版)1)の頁をひもといてみた。肺結核,サルコイドージス,種々の肺炎,肺硬塞,珪肺症,気管支拡張症,胸膜炎などにおける血清蛋白異常が主に記載されてあった。少し古いが,ドイツの文献でZette1ら(1955)2)の肺疾患における血清蛋白像の研究がある。肺疾患286例を扱っているが,気管支炎と肺炎を除き,肺腫瘍,炎症性肺疾患,肺結核の症例が大部分を占めている。
今から6年前,われわれは非常に興味ある肺疾患の一例を経験して報告した3)。 症例は29歳男子で,約5年問にわたり,乾性咳,持続性微熱および全身倦怠感を訴え,胸部X線写真(図1)では,両肺に汎発性に粒状陰影の散布があり,両側の気管支肺リンパ節の軽度腫脹がみとめられる。表在リンパ節は,側頸部,鎖骨上窩部,腋窩部およびそけい部に拇指頭大のやや硬いものを数個ふれる。
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