Japanese
English
特集 肺血管壁透過性をめぐって
壁透過性と表面活性物質
Pulmonary vascular permeability and surfactant
堀江 孝至
1
,
武藤 敬
1
,
小山 信一郎
1
,
保高 和子
1
,
和泉 徹
1
,
石田 順治
1
,
赤柴 恒人
1
,
細川 芳文
1
,
岡安 大仁
1
Takashi Horie
1
,
Takashi Muto
1
,
Shinichiro Koyama
1
,
Kazuko Hodaka
1
,
Tohru Izumi
1
,
Junji Ishida
1
,
Tsuneto Akashiba
1
,
Yoshifumi Hosokawa
1
,
Masahito Okayasu
1
1日本大学医学部第一内科
1First Department of Internal Med., Nihon University, School of Medicine
pp.639-643
発行日 1985年5月15日
Published Date 1985/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404204670
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臨床的に肺水腫は,(1)微小血管壁の透過性亢進,(2)血行力学的変化によるものに大別され,近年特に透過性亢進を招く機序について多くの検討がなされている。一方,血行力学的な因子として血管,間質の静水圧,膠質浸透圧が重要であるが,間質のそれらについてはなお不明の点が多い。
Rosenzweigら1)は,摘出イヌ肺を用い経肺圧(Ptp)の上昇に伴って肺内血管が拡張し,肺血流量が増加することを認め,またLloyd & Wright2)は肺を液体でふくらませた時に比し,空気でふくらませた時の方が肺血流が促進されることを報告している。肺を空気でふくらませた時の肺張力は界面張力が働くため,液体でふくらませた時のそれに比し明らかに高値である3)ことから,これらの実験成績は肺張力が直接間質静水圧の陰圧度に影響して肺内血管の拡張度を変化させることを示し,さらに肺水腫が発生しやすくなることを推定させる4)。したがって肺胞表面張力の上昇は肺水腫を誘発させると考えられるが,両者の直接の関係を検討した報告は少い。
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