Japanese
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装置と方法
動物実験に関して(1)—動物の心臓機能について
Function of the Heart in Animals
若尾 義人
1
Yoshito Wakao
1
1麻布獣医科大学家畜外科学教室
1Department of Veterinary Surgery, Azabu Veterinary College
pp.389-392
発行日 1969年5月15日
Published Date 1969/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202023
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はじめに
動験実験を企画するさいに,つねに考慮しなければならないことは,いかにして信頼性の高い,正確なデータを得るかということである。
動物実験では自然の状態でその生体反応を観察することが困難であり,実際に動物実験を行なう場合には,いろいろな条件が加えられる。これらの条件のうちで,実験の結果に大きな影響を与えるであろうと予想される条件をあげてみれば,1)実験動物の飼育環境,2)実験動物の生物学的な特性,ならびに,2)実験動物を取り扱ううえに配慮しなければならない問題,などであろう。
実験動物飼育の問題については,今日多くの研究機関ではその飼育環境が整備されているので,ここではこの間題にふれずに,動物実験を行なうさいに心臓機能検査で問題となる,2,3の事項について知るところを述べてみたい。
実験動物の生物学的な特性に関しては多くの報告があるが,心臓機能検査のために問題となる事項をあげてみれば,1)動物の種類によって胸廓の形態が異なる。2)胸廓の形態が異なることによって胸腔内における心位置に相違がある。3)動物の種類によって心臓の刺激伝導系に相違がある。4)動物の種類によって心臓の形態が異なる。5)その他,動物の種類によって心拍数の相違,心拍出量の相違,心音構成の相違,心筋収縮力の相違などの機能的な相違が問題となるのであろう。
実験動物を取り扱ううえに配慮しなければならない問題点としては,1)実験動物の保定ならびに麻酔の影響,2)運動負荷の影響,3)実験動物の心疾患,などがあげられよう。
以下これらの問題について今少し詳しく述べてみよう。
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