Japanese
English
綜説
肺循環の2,3の問題点
Some Problems on Pulmonary Circulation
村尾 裕史
1
Hiroshi Murao
1
1東京大学医学部老年病学教室
1Department of Geriatrics, Faculty of Medicine, University of Tokyo
pp.88-96
発行日 1969年2月15日
Published Date 1969/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201989
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肺循環についての生理学者,臨床家の関心は近年ますます高く,昨秋の第24回国際生理学会の際にも,satel—lite symposiumの一つとして,「肺循環」のシンポジウムがA. P. Fishmanの主宰でChicagoで開かれた。このシンポジウムでは,肺循環の調節機構の根底には肺血管平滑筋の能動的な働き(active vasomotion)があるに違いないという主宰者の考えを反映して,筋収縮機構や平滑筋生理学についての基礎的な解説が話題に選ばれていて,これが新しい試みとして注目を引いた。しかし一方,国際生理学会本会議の肺循環のsessionでの演題は内容的にいずれもきわめて低調であり,その他2年間の滞米中にいくつかの学会に出席した筆者の経験からみても,率直にいって肺循環の研究は既成の考えにとらわれすぎて,このところ足踏み状態でないかという感をまぬがれない。ここでは「現在注目されている新しい問題について広範な文献の紹介,解説を試みる」という普通の綜説の行き方から離れて,むしろ筆者の個人的興味を中心に,肺循環の研究で古くから語り尽されたようにみえる問題も,視点を変えると,案外新しい接近方法が開けるのではないかということを指摘したい。
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