呼と循ゼミナール
小児における肺機能検査の問題点
長野 準
1
1国立療養所南福岡病院
pp.498
発行日 1975年6月15日
Published Date 1975/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202773
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小児の肺機能検査の特色は,新生児,乳児期,幼児期,学童期で,その方法論が大きく異なることである。これは小児は刻々発育途上にあるものであること,さらに被検者としての協力が全く得られないか,または困難なことが多いことのためである。歴史的に小児の肺機能の研究をみると,1955年Cookらによってアメリカで発展し,未熟児新生児の死亡の大きな原因の1つであるRDS (respiratory distress syndrome)の研究によって,それはさらに大きく進歩してきた。その進歩の蔭には機器の開発,技術の進歩に負う所も多い。
肺機能の総合的評価の指標と考えられる血液ガスは,微量で測定しうる方法がなかったため,乳幼児では遅れていた。しかし近年,極微量分析装置の開発によって,著しい進歩をとげている。血液採取のためには,出生時は臍帯動静脈を使用できるが,その後は皮膚を温めて穿刺している。これは動脈血化毛細管血の代用による測定であって,直接採取法に較べるとPo2は低くPco2は高くでる傾向にあり,異常のある患児ほどそれが大きい。ゆえに正確な値を求めるためには,直接動脈血の採取が望ましく,新生児においても橈骨動脈固有手掌指動脈より採血する場合がある。
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