Japanese
English
綜説
肺移植の心肺動態からみた問題点
The Studies on Lung Transplantation—From the Viewpoint of Cardio-Pulmonary Function
仲田 祐
1
,
千葉 成宏
1
,
川上 稔
1
,
新垣 善一
1
,
岡庭 群二
1
,
江川 南翔
1
,
大久田 和弘
1
Tasuku Nakada
1
,
Shigehiro Chiba
1
,
Minoru Kawakami
1
,
Yoshikazu Arakaki
1
,
Gunji Okaniwa
1
,
Nansho Egawa
1
,
Kazuhiro Ohkuda
1
1東北大学抗酸菌病研究所外科学研究部
1Department of Surgery, The Research Institute for Tuberculosis, Leprosy and Cancer, Tohoku University
pp.100-107
発行日 1971年1月15日
Published Date 1971/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202231
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はじめに
現在では肺移植の臨床例も散見されるよりになり26)42)65)76),他臓器の移植と同様に臓器移植本来の目的,すなわち廃絶せる臓器を健常な臓器と置換することにより,機能の回復を図ることを目指して行なわれるようになりつつある23)27)69)。肺移植実験の歴史をみると,1947年Demikhov15)が最初に行なったものは左肺下葉の同種移植であった。以後Juvenell32), Staudacher67)をはじめとして当初は自家肺移植(自家肺再接着)が主として行なわれ,移植手技の確立や神経,リンパ管あるいは気管支動脈の切離等の生理学的影響の追求,あるいは移植肺機能の吟味などに主眼がおかれていた。1961年Blu—menstockら5)の同種肺移植実験におけるMethotrexate使用の報告以来,各種免疫反応抑制法を講じつつ同種肺移植の成績も漸次向上し,最長38ヵ月生存例7)も報告されているものの平均4〜6週間程度というのが現状のようであり22)69),さらにこれまでに行なわれた臨床例では大多数が18日以内に死亡し,わずかにDeromの3ヵ月および10ヵ月生存の各1例があるのみと伝えられており27)71),同種肺移植の成功未だしと言わざるをえない。それではこれら同種肺移植における長期生存の壁となるものは何であろうか。
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