Japanese
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講座
VA/Q―換気・血流比の不均等分布について
VA/Q: Distribution of Ventilation-Perfusion Ratio
長野 準
1,2
,
末次 勧
2
Hitoshi Nagano
1,2
,
Susumu Suetsugu
2
1国立療養所屋形原病院
2九州大学医学部付属胸部疾患研究所
1National Yakatabara Hospital
2Research Institute for Diseases of the Chest, Faculty of Medicine, Kyushu University
pp.857-862
発行日 1968年10月15日
Published Date 1968/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201945
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はじめに
VAは肺胞換気量,Qは肺血流量を表わす記号であり,VA/Qは両者の比,すなわち換気・血流比ventilation—perfusion ratioを示す。均一なVA/Q比を有する肺胞群または肺に適用される理論と実際については,すでに本誌14巻5号および6号に横山1),山林2)両氏による講座が連載された。
肺におけるガス交換を決めるものはVAの絶対値でもなく,Qの絶対値でもない両者の比すなわちVA/Qである。ガス交換障害特に動脈血の低酸素をきたす原因として臨床上最も多くみられるのは,この比が異常をきたすことと,その分布が生理学的範囲を越えて不均等に分布することである。したがってVAの不均等分布non—uniform ventilation,またはQの不均等分布non—uniform blood flowを知ることももちろん重要であるが,VA/Qおよびその分布を知ることができればsteady stateにある生理的,病的肺のガス交換の状態のほとんどすべてを解釈することができるといっても過言ではない。
このように重要な指標であるにかかわらず,VA/Q特にその分布を的確に定量的に測定することは必ずしも容易ではない。しかし,近年各種の放射性同位元素を用いて肺局所のVA/Qを評価することが行なわれるようになり,この方面の研究はさらに著しい進歩をとげてきた。本稿においては主として換気・血流比の分布に焦点をおいて肺のガス交換をどのように考えるか,基礎的に述べてみたい。
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