Japanese
English
臨床
遺伝学からみた肺疾患
Genetic Aspects of Pulmonary Disease
三上 理一郎
1
Riichiro Mikami
1
1東京大学医学部中尾内科
13rd Department of Internal Medicine, Faculty of Medicine, University of Tokyo
pp.27-34
発行日 1968年1月15日
Published Date 1968/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201858
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緒言
人類遺伝学の歴史は,同じ病気や異常が同じ家系の人人の中に現われるという事実の集積に端を発した。そして今日では,遺伝学は生化学の進歩と結びついて,飛躍的発展を歩んでいる。人類遺伝学の臨床上,従来から注目されている分野は,先天性代謝異常症,精神障害,血液疾患,神経・筋疾患,消化器疾患,循環器疾患などであって,肺疾患については関心が少なく,筆者が数年前に「呼吸器疾患と遺伝」という綜説をまとめ,また同じ頃,McKusickらが"Genetic aspects of respiratory disease"なる論文を発表しているにすぎない。しかし,その後の肺疾患に関する文献を渉猟すると,肺疾患の家族内発生の報告例が目につく。肺胞微石症,間質性肺線維症,原発性肺高血圧症,肺気腫,サルコイドージスなど,今までに原因の明らかにされていない疾患群である。遺伝学的観点は,これら疾患の原因解明に,新しい重要なアプローチとなるにちがいない。ここにあらためて,遺伝が疾患発生上関与していると考えられる肺疾患の分類(表1)をこころみつつ,肺疾患研究の新しい分野を展開させてみたいと思う。
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