Japanese
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特集 肺性脳症
呼吸性脳症の臨床—特にその臨床的分類と症候論
Clinical Studies on Respiratory Encephalopathy with Special Reference to Clinical Classification and Symptomatology.
三上 理一郎
1
,
大友 英一
1,2
Riichiro Mikami
1
,
Eiichi Otomo
1,2
1東京大学医学部中尾内科
2浴風会病院
1Dept. of Internal Medicine, Faculty of Medicine, Univ. of Tokyo.
2Yokufukai Geriatric Hospital.
pp.655-672
発行日 1964年9月15日
Published Date 1964/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201361
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I.緒言—本症の概念とその歴史的由来
肺性脳症pulmonary encephalopathyなる言葉がわが国でも最近注目され,本年3月第5回日本神経学会のシンポジウムでとりあげられ,われわれもそれに参加し討論する機会を得た1)。その際まづ肺性脳症なる臨床的概念の歴史由来を簡単に辿つてみたい(第1表)。
1933年英国の眼科医Calneron2)は肺気腫患者にみられた乳頭浮腫の第1例を報告した。このような症例は現在まで約30例発表されている。1948年Simpson3)はその成因としてhypercapniaを注目した。一方米国では1944年Barachら4)が慢性肺気腫の治療として高濃度のO2吸入中昏睡を起した症例に遭遇した。Davisら5)(1949)は昏睡の他にmyoclonie様運動を伴つた類似例を経験しoxygen intoxication酸素中毒症と呼んだ。さらにComroe6)(1950)は類似例で死亡した症例を経験し原因としてCO2narcosisを重要視した。そしてこの両国でほぼ同じ頃に注目された症例は,いずれも同じような病態であつて,呼吸性アチドーシス,炭酸ガス中毒症候群,または肺胞低換気症候群と呼ばれるもののカテゴリーに含まれることがわかつてきた。
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