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緒言
高圧酸素加hyperbaric oxygenation (OHP)の臨床応用は近年大きな関心を集めており,その応用も,一酸化炭素中毒,嫌気性菌あるいは好気性菌感染症,心筋硬塞,脳血管障害,出血性ショック,新生児呼吸困難,末梢循環不全,外科手術への応用,悪性腫瘍の治療などぎわめて広範囲にわたっている3)14)。しかしながら,高圧酸素加の臨床効果の基礎は,いくつかの仮定の上に立つ理論的考察が主体であり13),実証された知見に乏しいといわざるをえない。
たとえば,治療手段としての高圧酸素加には,安全で有効な投与量を決定せねばならないが,多くは経験的に用いられているにすぎない。さらに異常環境下の生体反応について,とくに高圧酸素加に必然的に付随する危険の一つである酸素中毒の問題にしても,その発生要因,発生限界圧力,予防法などについては十分な知見に乏しい。
著者は,高圧酸素加の臨床応用に先立って,第一に酸素中毒の発生要因および頻度の統計的観察,第二に高圧酸素加による組織ガス分圧の変化,第三に,Nahasら17)21)の報告にある,tris-hydroxymethyl-amino-me—thane (THAM)の酸素中毒に対する効果および作用機序の三つの観点から,高圧酸素加に関する実験的研究を行なったので,その成績について報告する。
Experiments were conducted to elucidate the oxygen intoxication, which is one of the major hazards in clinical application of hy-perbaric oxygenation. Observation was made on the pocket gas tensions of rats in relation to their symptoms of oxygen intoxication represented by convulsion and/or hemoptysis. Animals were exposed to hyperbaric oxygen of various pressures for various periods.
Effects of THAM to prevent the oxygenintoxication were also studied. 10% THAM solution (2 ml per 100g body weight) was administered intraperitoneally.
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