Japanese
English
ジュニアコース
冠不全の心電図(2)—リハビリテーションを中心として
The Electrocardiogram of Coronary Insufficiency.: With Special Reference to the Rehabilitation.
伊藤 良雄
1
,
竹内 馬左也
1
,
紅露 恒男
1
Yoshio Ito
1
,
Masaya Takeuchi
1
,
Tsuneo Koro
1
1東京大学医学部第4内科
1The 4th Dept. of Internal Medicine, Faculty of Medicine, Univ. of Tokyo.
pp.243-250
発行日 1966年3月15日
Published Date 1966/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201570
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
はじめに
冠不全(coronary insufficiency)とは,前稿にも述べたごとく,冠循環系が本来の機能を全うしていない状態,すなわち,冠循環系が心臓に,その本来有する正常な血液循環機能を営ませるに十分なエネルギーを供給し得ない状態を指すものと考えられる。このような心筋におけるエネルギーの需要供給のnegative imbalanceは,エネルギー生産量の減少,利用効率の低下,需要量の増大の相互関係によって生ずるものであるが,そのよってくる原因の大部分は,周知のごとく,冠動脈硬化症による。そして冠動脈硬化による冠不全では,最大の因子は,供給量の減少ということになろう。
元来,生体の器官というものは,生命を維持するに必要な,その器官に特有な機能を行なうに足る最小限度の能力の数倍のreserve capacityを有するもので,冠循環系においても例外でない(第1図)。すなわち,安静時に必要なエネルギー供給量のみならず,生体の労作時に起こる需要の増大に対しても,健康な冠循環系は十分に反応,適応するだけの供給予備力を持っている。
Copyright © 1966, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.