Japanese
English
特集 血行力学的にみた大動脈弁膜症
大動脈弁膜症の心不全—ASとAIの差
Congestive Heart Failure in Valvular Heart Diseases
伊藤 良雄
1
,
奥田 佳久
1
,
池田 泰啓
1
,
森島 明
1
,
沢田 美智子
2
Yoshio Ito
1
,
Yoshihisa Okuda
1
,
Yasuhiro Ikeda
1
,
Akira Morishima
1
,
Michiko Sawada
2
1東京大学医学部第4内科学教室
2東京大学教養学部
1The Forth Department of Internal Medicine, Faculty of Medicine, University of Tokyo
2Dapartment of Physical Education, Faculty of General Education, University of Tokyo
pp.315-322
発行日 1973年4月15日
Published Date 1973/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404202481
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一般に右心室は容量負荷に,左心室は圧負荷に比較的に強いということが何とはなしに信じられている。これは大小循環系の圧の差とか,心房中隔欠損症の予後が比較的良いとか,高血圧症に必らずしも心不全が合併しないなどからもうなづける。一方,僧帽弁膜症はうつ血性心不全をおこしやすいが,治療に比較的良く反応する。大動脈弁膜症は仲々心不全に陥らないが,一度心不全に陥いると治療に抵抗し,余命も短いということもいわれている。このことは先人の長い臨床経験の積重ねから得られたもので,僧帽弁膜症,大動脈弁膜症を全体的にみた場合,原則的にはいえることと思う。しかし,大動脈弁膜症には狭窄を主体とするもの,閉鎖不全を主体とするもの,両者がほぼ同等に存在するものとがある筈である。そして先にも述べた如く左心室は圧負荷に比較的強いということを考えると大動脈弁狭窄症(AS)と大動脈弁閉鎖不全(AI)では,心不全のおこり方や,その後の経過に差があってもよいのではないか,大動脈弁狭窄兼閉鎖不全症(ASI)は両者の中間の型をとるのではないかという考え方もででくるわけである。これが編集者の本稿に対する意企ではないかと考える。しかし,AIも弁膜障害がある程度以上になると収縮期圧上昇という現象が必らず随伴し,左心室には圧負荷も加わる。すなわちAIでもAS同様圧負荷がある。
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