Japanese
English
綜説
テレメーターの臨床的応用—特に心電図の無線搬送について
The Clinical Application of Telemetering:With special reference to the Radioelectrocar diography
小林 太刀夫
1
,
竹内 馬左也
1
,
紅露 恒男
1
,
俵 穆子
1
Tachio Kobayashi
1
,
Masaya Takeuchi
1
,
Tsuneo Koro
1
,
Ineko Tawara
1
1東京大学医学部分院内科
1Dep. of Internal medicine, Tokyo University Branch Hospital
pp.380-389
発行日 1962年6月15日
Published Date 1962/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201097
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I.緒言
テレメーターとはある測定データを遠隔送受信する装置で,電子工学の進歩に伴い,理工学方面においては多方面にめざましい発展を示しているが,特に最近では宇宙観測ロケット,人工衛星などに利用されているのは衆知のことである。医学的応用としては我が国でも特にスポーツ医学方面で数年来この種の応用が行われ,疾走,跳躍,水泳中の心電図,呼吸運動などの無線搬送が試みられており,最近では馬術競技における騎手及び乗馬の心電図,ボートの加速度曲線の記録,また生理学的研究面では自由に行動中の動物に電気刺激を与え,その反応を調べることなども行われている。また最近,嚥下可能なカプセル内の超小型発信器に体外から電力を送信し,その電磁エネルギーを受けて,消化管の温度,圧力,酸度,血液検出用のテレメーター装置即わちエコーカプセルなども考案され,実用化されつつある1)。その他心音,脈波,筋電図,皮膚電気反射,脳波,血圧など,種々の生体電気現象のテレメーター化も可能であるが,臨床的応用については心電図すら,まだその報告は少く,将来の発展が待たれる所である。
そこでまず今回は電極及び誘導法の検討と共に,心電図の最も重要な臨床的価値の一つである冠動脈疾患患者について,心電図の無線搬送(Ra—dioelectrocardiography)を現在我々が如何なる面から臨床的に応用し,その応用が臨床的に如何なる意義を有するかを中心として述べてみたいと思う。
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