Japanese
English
綜説
いわゆるSlow spaceについて
On the Measurement and Clinical Significance of the Slow Space.
金上 晴夫
1
,
桂 敏樹
1
Haruo Kanagami
1
,
Toshiki Katsura
1
1国立がんセンター内科
1Dept. of Internal Medicine, National Cancer Center Hospital
pp.392-402
発行日 1964年6月15日
Published Date 1964/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201324
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I.はじめに
吸気が肺胞内に分布する状態は健康者の場合でも,一般に均等でないという事がいろいろな実験で知られている1)。例えば酸素一回呼吸法により呼気中の窒素を連続的に測定記録すると呼気の比較的後半の部分の窒素濃度が増し肺胞気の不均等性が証明出来るし,開放回路法による肺内窒素洗出曲線を連続的に記録して呼吸数に対してその窒素濃度を半対数グラフにプロットすると吸気が均等に分布している場合には一つの直線を示すが,不均等分布の場合には傾斜の異るいくつかの直線に分けられ,健康者でもこの様な場合がみられる事がある。Fowler2)によれば之らの直線の傾斜は有効肺胞換気の良否を示し,傾斜が緩やかになるにしたがいalveolar dilution factorは増して有効肺胞換気が低下している事を示すという。肺胞換気の不均等性が高度になると,肺はalveolardilution factorの異るいくつかのspaceに分けられ,肺窒素クリアランス遅延率(pulmonary N2) clearance delay)が増加する。Fowler2)は肺を肺胞内ガス稀釈率の異るいくつかのspaceに分けて肺胞換気の不均等性を考えたが,これらのspaceについては特に定義も特殊な命名をも与えていない。この肺胞換気のわるいspaceを特に取上げて,その定義或は命名を考慮したのは1952年Briscoe3)がはじめてのようである。
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