巻頭言
EntrainmentとSlow conduction area
松尾 博司
1
1埼玉医科大学総合医療センター第三内科
pp.941
発行日 1990年10月15日
Published Date 1990/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404910020
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Entrainmentという言葉は,種々の生物学的な周期性現象において用いられているが,以下に述べるen-trainmentは,頻拍を停止させる目的で,高頻度心臓刺激,いわゆるoverdrive pacingを行うと,頻拍のレートがpacingレートに一致して速くなり,pacingをやめると再び元の頻拍が本来のレートで再開される現象を指す。Entrainmentは一般に,頻拍の機序がリエントリーであることを示す所見と考えられている。
Entrainmentの診断基準として,Waldoらは3項目を呈示したが,その一つに,「pacing中止後最初の頻拍の波形は元の頻拍の波形に戻るが,その周期はpacing周期に一致する」がある。ところが最近になって,pac-ing部位と電位記録部位の関係から,この基準は必ずしも当てはまらないことがあるのに気付かれるようになった。具体的に言えば,overdrive pacing中止後最初の周期が直ちに元の頻拍周期に戻らず,一拍だけ頻拍周期よりも延長する場合があるということである。私共は,WPW症候群で興奮が正常伝導路を下行し,副伝導路を上行する頻拍——興奮伝播の経路からみてcircusmovementないしmacro reentryの一典型——について,この点を検討した。
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