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講座
血行力学解析の方法—(2)心臓の血液拍出を中心として
Analytic Approaches for the Better Understandings of the Hemodynamics.:Rivised Concept on Cardiac Ejection
沖野 遙
1
Haruka Okino
1
1北海道大学応用電気研究所,メディカル・トランスデューサー部門
1Medical Transducer Section, Research Institute of Applied Electricity, Hokkaido University.
pp.405-411
発行日 1964年6月15日
Published Date 1964/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201325
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前篇(その1)に述べた血行力学に関する考え方に基いて,心室から動脈への血液拍出の機構をみると,1934年にWiggersやHamiltonが発表して以来全く定説として和洋各種の生理学教科書に掲載されてきた心周期を示す原図(第1図)は実在の現象を説明することができないことになる。Wiggersの原図は左心室から大動脈への血液拍出の機構を示すものであるが,全く同一の機構が右心室から肺動脈への血液拍出の場合にも成立すると拡張解釈して,左心側と右心側の現象群が同じ時間軸の上に記載されて,多くの生理学教科書に示されている(第2図)。Wiggersの示した心拍出の機構を要約すると,心筋の収縮に伴つて心室内圧が動脈内圧に等しくなると弁が開放し,血液が心室から動脈に向つて流れ込んでいる間(拍出期)は心室内圧が常に動脈内圧より高くて,両者の内圧が再び等しくなると弁が閉鎖して拍出期が終了する。この考え方からすると,心室から動脈への血液の動きは常に流れの方向に対して正の圧勾配だということで,この正の圧勾配の生ずる由来は弁を含めた流出路の部分にある血流抵抗によるものである。いいかえると,介在する血流抵抗分をRとして,この抵抗分の前後(心室と動脈)に生ずる圧勾配を△PR,血液の流れをFとすると,
△PR=R・F………………………………(1)
という関係が成立して△PRとFの波形の位相は一致し,Rの値が△PRとFとの振巾の比例係数になる(第3図A)。
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