Japanese
English
文献抄録
喫煙と祛痰—Hilding, A. C. :Dis. Chest.39(4):357〜362, April 1961.,他
Cigarette smoke and the physiologie drainage of the bronchial tree.
pp.717
発行日 1963年10月15日
Published Date 1963/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201252
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喫煙といつても巻煙草,祛痰は気管支から自然に排痰することにして論じている。喫煙でタール小滴が空気と共に,最も濃い霧より濃度高く気管支に入る。タール小滴は気管気管支から肺胞にも達する。上の方ほど濃い。気管支から細気管支まで繊毛上皮を被るが,繊毛は水泳の時の手のストローク同様で1分間1000回ストロークする。いうまでもなく方向は咽喉の方に向う。その表面には粘液があるが1日に何回も出されては変る。あたかもエスカレーターの如くである。下部では小川のようなものが,だんだん合して大河のような気管となる。主気管支は径7.5cmの河である。河川と同じく気管支繊毛の流れにも,繊毛のない化生上皮の島が出来る。繊毛を欠く島では空気中の刺激物がその細胞に直接あたる。癌が発生するのはおそらくこうした島からであろう。タール小滴の中には癌原物質がふくまれる。島で流が停滞すると,そうしたhot stuffが細胞を傷害するに十分の条件が生ずる。喫煙は繊毛のストロークをおくらせ,或は停止させる。これは癌原物質がなくても同様で,たぶんニコチン作用であろう。喫煙では,つまり,繊毛運動の阻害,粘液の流れの停滞,癌原物質の繊毛欠如細胞刺激という変化が発生するわけである。タールは肺胞細胞に入り,そこから呼吸性細気管支に運ばれる。また所属リンパ腺にも運ばれうる。
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