特集 日常検査法—基礎と要点
部門別の基礎技術
Ⅷ.一般検査
痰
高橋 昭三
1
1結核予防会結核研究所細菌血清学研究科
pp.1377-1379
発行日 1970年12月1日
Published Date 1970/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542907020
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痰の成分と肉眼的所見
気管,気管支の粘液腺で分泌される透明な粘液は管壁内面をおおい,そこにはいってきた異物をとらえ,線毛上皮の線毛の運動により,気管から喉頭,咽頭を通って捨てられる.これが痰である.中に細胞成分として喰細胞(主として大喰細胞)が含まれるが,生きているときは透明である.これにいろいろの細胞などが混じり,種々の外観を示すようになる.
赤血球または血液が少量混じれば,淡黄色,ピンクから赤色となり,一様に混じっている場合は気管支に出る前の出血であり,気管支内で混じれば線状になって現われる.出血した部位に長くおかれた場合は,チョコレート色になることもある.膿,すなわち死んだ白血球が混じった場合は,赤血球の場合の赤が黄色ないしクリーム色となり,線状または塊状になって痰の中に混じってみられる.膿が圧倒的に多い場合は,全体が粘性のクリーム状となる.
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