Japanese
English
講座
肺機能検査からみた運動負荷試験法
Exercise Test as the Pulmonary Function Test
金上 晴夫
1
,
馬場 健児
1
,
白石 晃一郎
1
,
桂 敏樹
1
,
尾形 和夫
1
,
田中 元直
1
,
柳原 寿男
1
Haruo Kanagami
1
,
Kenji Baba
1
,
Koichiro Shiroishi
1
,
Toshikl Katsura
1
,
Kazuo Ogata
1
,
Motonao Tanaka
1
,
Hisao Yanagihara
1
1東北大学 抗酸菌病研究所
1The Research Institute for Tuberculosis and Leprosy, Tohoku University.
pp.533-544
発行日 1962年8月15日
Published Date 1962/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201119
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I.はじめに
最近の肺生理並びに肺機能検査法の進歩発達は誠にめざましいものがあり,現在では肺機能検査法が臨床的に極めて役立つ検査法である事が十分に認識されて呼吸不全の診断及び対策,種々の心肺疾患の診断,肺手術の適応決定,患者の作業能力及び社会復帰の判定等に極めて重要な資料をあたえている。さて多くの肺機能検査法は主として安静時の患者を対象としているが,呼吸不全は安静時よりもむしろ運動負荷時に強く現われる事が多い。例えば運動時には肺胞気と毛細血管の接触時間の短縮,或は換気血流関係の不均衡の強化等からAnoxemiaは更に高度に現われるだろうし,Breathing requirementの増加により安静時には起らなかつた呼吸困難が認められよう。即ち安静時には認められなかつた呼吸障害が運動負荷によつて始めて検出出来る場合がある。
又拡散障害のある患者では運動負荷時に,Ano—xemiaの増加から過剰換気になるので運動換気量は著明に増加するだろう。その他恢復せる肺結核患者で作業能力を決めたり社会復帰の基準を決める場合1)や,或は塵肺患者の呼吸不全の程度を診断2)してその補償を決める際にも運動負荷を与えて検査する事が必要である。
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