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文献抄録
先天性の限局emphysema—Campbell, D,:Bauer, A. J. & Hewlett, T. H.:J.Thor. Cardiovasc. Surg.41(5):575-586, May 1961,他
Congenital localized emphysema
pp.775,798
発行日 1961年11月15日
Published Date 1961/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201036
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新生児の大葉性emphysemaは稀だが重篤な呼吸困難を招くものである。その部が大きくなつて正常部を圧迫するので,本症が疑われたら早く手術する方がよい。多くはその葉に入る気管支の軟骨に欠損・形成不全・萎縮・位置異常・軟化などがあるので空気が自由に入り過ぎその葉の気腫を形成するのであろう。あるいは終末気管支の減形成で空気が入つて出にくいという場合もある。その粘膜が皺襞となつて弁の働きをする。開胸すると,罹患部がヘルニア状にとび出して来る。触れると気管支が異常に軟い。肺組織はgelfoamのようである。気管支には狭窄はなく,ふつう炎症もない。肺胞は拡張し隔壁菲薄,破裂,融合し,血管は小であるが動脈壁変性はない。ふつう大葉性で中葉に多い。区域性emphysemaは稀。全葉emphysemaも稀。下葉には少い。先天的心疾患,縦隔欠損,漏斗胸など奇形を伴うこと稀ならず。本症の75%は呼吸障害を訴え,喘鳴・セキ・チアノーゼ等が原因なしに生ずるので,新生児では本症を疑うことができる。しかしそれほど高度にならず,中等度の呼吸障害のまま小児期を過しうるものもある。診断は原因のない,新生児呼吸障害,レ線像。自然気胸・気管支狭窄・肺無形成などとは気管支造影で鑑別。治療は罹患部の切除。窄刺は危険である。新生児・幼児でも手術予後は良い。文献42例に2例の手術死あるのみ。
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