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講座
AIR TRAPPING—スパイログラムに基いた肺機能検査(1)
AIR TRAPPING
横山 哲朗
1
Tetsuro Yokoyama
1
1慶応義塾大学医学部内科学教室
1Department of Internal Medicine, School of Medicine, Keio University
pp.911-920
発行日 1957年12月15日
Published Date 1957/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200568
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Ⅰ.はじめに
近年の肺病態生理学の目ざましい進歩は心肺動態の詳細な解析によつてもたらされたものであるから,肺機能障害を検討する肺機能検査が次第に複雑となることは止むを得ないことである。しかし乍ら,反面,肺機能検査が実際に臨床に応用される場合にはなるべく簡易化した検査によつて的確な診断を得たいという要求がおこるが,これも又当然のことといえよう。このような現状において一連の詳細な心肺動態解析の"いとぐち"であり,且つroutineの肺機能検査のbackboneでもあるのがスパイログラムである。
勿論,スパイログラムは,心肺動態の一部にすぎない気相の,しかも肺を出入するガス量の記録にすぎないのであるから,これによつて知り得ることには自ら限度のあることは云うまでもない。しかし,肺気量分画,換気諸量のみならず,更に詳細にスパイログラムを解析することによつて,大きな生理学的意義を有する知見を得ることが出来る。著者は数回にわたつて,このような見地より余り紹介されていない文献を整理し,著者自身の経験をも加味しつつ,スパイログラムについて考察を加えてみたいと思う。ここでは必らずしも,系統的な順序によらず適宜問題を採上げたい。今回はair trappingについて述べることとした。
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