綜説
Air trapping
川上 義和
1
Yoshikazu Kawakami
1
1北海道大学医学部第1内科
11st Dept. of Intern. Med., Hokkaido Univ.
pp.516-523
発行日 1978年6月15日
Published Date 1978/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404203202
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今から約150年前のことである。Laennecは,剖検肺を観察しているうちに,健常肺は胸廓を開くとすぐ虚脱するのに肺気腫肺はあまり縮まず,その表面を指で圧迫すると,肺胞気が気道へは圧出されずに,隣接の肺へ移動するのを認めた1)。同様の現象は,これから40年あまり経ったころ,Wintersによっても観察されているが2),その生理学的意義の重要性は近年まで理解されなかった。
現在の呼吸生理学の知識からみると,これはもちろんair trappingとcollateral channelsによる現象と理解できるが,この現在の常識に至る歴史をふり返りながら,知識を整理してみたい。
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