Japanese
English
解説
Air Trappingという言葉の意義
Definition of Air Trapping.
仲田 祐
1
Tasuku Nakada
1
1東北大学抗酸菌病研究所
1The Research Institute for Tuberculosis and Leprosy, Tohoku University.
pp.235-236
発行日 1965年3月15日
Published Date 1965/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201429
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
語義 正常人では呼気は吸気の約1.2倍の時間を要するが,呼出性閉塞のある患者あるいは,肺の弾力性収縮が減少した患者では,呼出時間がより延長してくる。特に深吸気を行なわせると,これが甚だしくなる。このとき完全に安静呼気位にもどらない前に,呼吸中枢から,つぎの吸気インパルスが発生すると,肺内に余計に空気が取りこまれる。この現象を"空気とらえこみ現象"air trappingという。
Cournandは安静呼気位からの最大呼出は容易であるが,深吸気位からの最大呼出が障害された現象をair trappingとして説明し,Westは,細小気管支の狭窄あるいは痙攣のために,反覆して,深呼吸を行なわせる際に呼出される空気の量が次第に減少することを,またLeslieは,肺の弾力性の喪失と,小気管支の狭窄のために呼出が障害されているものを,またComroeは正常人が最大吸気を行ない,それから胸廓が受動的に安静呼気レベルにもどるようにさせておくと,吸気量のすべては次の吸気の始まるまで呼出される。特に呼出閉塞がある患者にこれを行なうと,正常の基線に緩除にしかも階段的にもどり,その間安静呼気レベルに達するまでに数回の呼吸が行なわれる。この現象をair trappingと称し肺気腫忠者では一つには常に合併している呼出閉塞のため,また一つには肺は急速な過膨脹の後にゆっくり原容量の状態にもどるから,その現象は一層顕著にみとめられるといっている。
Copyright © 1965, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.