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診療指針
最近のジギタリス剤
Recent Advances of Digitalis Preparations
小野 一男
1
,
田中 茂雄
1
Itio Ono
1
,
Sigeo Tanaka
1
1岩手医科大学第一内科
11st Depart. of Internal Medicine, Iwate Medical College
pp.921-928
発行日 1957年12月15日
Published Date 1957/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200569
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ジギタリス(以下ジギと略する)がW. Withe—ringによつてすぐれた強心作用をもつものとして始めて治療に用いられて以来,今日に至る迄直接心筋に作用する有効な強心剤として他の追随をゆるさぬ地位を占めて居る。
従来ジギは主として生薬として用いられたが,之はその産地,栽培法,栽培時の天候,時期,処理方法等の種々なる条件に左右される為にその力価の変動が甚しく,而も生物学的検定と臨牀上のジギ効果とが一致せず,反つて容易に中毒作用があらわれる等のいろいろの欠点があつた。この様な点からもジギの効力と毒力とは可分か不可分かの問題が臨牀上重要なものとして論議され,有効成分と有毒成分とが別個に存するという考え方と両者は不可分となす見方と対立した為に我が国に於てジギ研究班が結成され,夫々の純配糖体を中心として研究され一応の結論に到達して居る。その検討された詳細については既に美甘,小林等によつて述べられて居るのでここでは触れないが,今日のジギ剤は,従来賞用された生薬とその位置を変えて臨牀上広く使用されつつある,現在強心配糖体製剤として多数のものが発売されて居るが,本質的にはその作用は同じであり,ただその吸収速度,体内分布,効果持続,解毒排泄等に差があるに過ぎない。しかし之等はその投与法を決定する重要な条件であるので,夫々のジギ製剤の特性をよく把握してその効果の動きを指標として用いなければならない。
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