Japanese
English
綜説
血流力学
Haemodynamics
相沢 豊三
1
,
長谷川 恒雄
1
Toyozo AIZAWA
1
,
Tsuneo HASEGAWA
1
1慶応大学
1Department of Internal Medicine, School of Medicine, Keio University
pp.468-476
発行日 1955年8月15日
Published Date 1955/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200265
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緒 言
近年,循環が各種疾患の病態生理学的観察やその裏付けを行う上に甚だ重要である事が一般に認識せられ,その研究は理化学の知識を導入する事に依り漸次著しい発展を遂げ,臨床の基礎及び診療面に新しい見解を与えつつある。特に最近の研究面は精密な測定装置を縱横に駆馳し循環を多方面より詳細に定量的に観察する方法を選ぶ為,従来重用されて来た種々の測定原理や測定法に就いても若干批判再検討を要する部分も見出されてきた。従つて最近の方法に依つて得られた新な研究結果に基く補正と共に更に一歩進めた原理面の開拓が要望されつつあることは当然のことである。生体の血液循環は,本質的には生物学的現象であるが,循環そのものは血液の血管内に於ける流れで,水力学的乃至は物理学的現象と見做し得る部分がある。従って生体の複雑微妙な生理機構と多岐多様な血流路に依って営まれて居る循環を簡単な仮定と簡略化した物理現象として解析する事は可成り異論はあっても或る範囲内では矛盾なく取り扱う事が出来る。そこでわれわれは循環を物理学的表現を用いて説明する上に解剖学的,生理学的条件を十分考慮し,余り無理のない仮定を置いて解析すると共にその量的関係を把握しようとする立場から血流力学を論じたいと思う。言うまでもなく血流力学は後述する様に流体力学や物理学の発達と共に古くより研究せられ,種々な循環に対する仮定の考察と共に数多くの業績を残しては居る。
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