今月の主題 脳循環の基礎と臨床
脳循環研究の進歩
相澤 豊三
1,2
Toyozo AIZAWA
1,2
1国家公務員共済組合連合会・立川病院
2慶応義塾大学
pp.1690-1691
発行日 1981年10月10日
Published Date 1981/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402217346
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ヒトの脳は左右の内頸動脈A.carotis interna と,左右の椎骨動脈A.vertebralisとによって血液の供給を受けている.この3大動脈系の灌流する領域は,正常では選択的であり,高等な機能を司る大脳は主として内頸動脈系がこれを担当し,生命と直接不可分の関係を保っている.
尾側脳幹部(間脳・中脳・橋・延髄)および小脳は主として椎骨動脈系から栄養されており,自律神経系から血液の配分を受け,しかも選択的に一定の動脈は一定の視床下部の核群を養っているといわれている.それらの動脈は脳底部で,ひとまずお互いに連絡してWillis動脈輪をつくっているが,この前・中・後3対の大脳動脈に脈絡叢動脈・小脳動脈その他が加わって脳に給血するものである.このことは人体の生物学的防禦機構を示すよい例であり,片側の主幹動脈が閉塞しても,大脳両半球に血液供給を確保することができるからである.
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