Japanese
English
綜説
僧帽弁弁膜症に於ける肺高血圧と肺症状に就いて
Pulmonary Hypertension and Pulmonary Symptoms in Mitral Valvular Disease.
曲直部 壽夫
1
,
藤本 淳
1
,
森永 堯
1
,
佐藤 安正
1
,
奥 信夫
1
,
篠 憲二
1
,
西山 実
1
,
田中 陽造
1
H. MANABE
1
1大阪大学第一外科教室
1Ⅰst Surgical Clinic of Osaka University
pp.214-221
発行日 1956年3月15日
Published Date 1956/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404200342
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僧帽弁弁膜症患者の初発症状は心悸亢進,全身倦怠感に伴う呼吸に関した肺症状である。就中運動,興奮,感染等により惹起される呼吸困難は最も普通の苦痛であつて,咳嗽,喀痰並びに血痰の喀出,或は呼吸筋の疲労感等の症状と共に起つて来る。一般に此等症状は数年の間に徐々に進行し,急性ロイマチス性心内膜炎等の合併因子が加わらない限り,頑固な,そして広汎な鬱血と心不全の徴候は未期に於てのみ表われて来るものである。この様に呼吸困難,運動制限を主体とする肺症状は本疾者に於ける最初の訴えでもあり,最も普通なものであつて,これが本態に関しては今日迄も多くの興味をもつて肺機能の面より種々論議されて来た1)2)3)。我々も最近強調される総合的心肺機能の立場に立つて各時期の患者を系統的に観察する機会を得,次に述べる如き結論を下すことが出来た。即ち本症状に就ては一次的弁変化に伴う肺高血圧と循環血流量の低下があつて,更に心拡大に伴う局所的肺鬱血状態(肺血管基部の膨隆)による機能的肺血量の減少と,二次的肺変化による瓦斯交換作用の制限,貧血(ヘマトクリツト値の減少)が加わることにより一層高度となることが考えられた4)9)。そしてこゝにはその一環として肺高血圧との関係を特に取上げ,検討せる所を発表する。
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