Japanese
English
特集 呼吸器感染症診療の変貌
感染を記憶する骨髄
Bone Marrow:Home in Immunological Memory
常世田 好司
1
Koji Tokoyoda
1
1ドイツリウマチ研究センター
1Deutsches Rheuma-Forschungszentrum Berlin(DRFZ)
pp.763-768
発行日 2014年8月15日
Published Date 2014/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404102537
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感染と免疫記憶
生体内に細菌やウイルスなどの感染源が侵入した際,免疫システムは大きく分けて自然免疫と獲得免疫の2つの系を駆使し,感染源を排除する.獲得免疫は感染源を排除する以外に記憶する能力も持つ.これを免疫記憶という.免疫記憶の機能を持つことにより,同種の感染源が再度侵入した際には,初めて侵入した際に比べて迅速かつ強力に感染源を排除することができる.われわれはこの機能を利用しワクチンという手段を開発し,感染による多くの障害に打ち勝ってきた.果たして感染源をどのように記憶することができるのか.答えは簡単で,感染源の構成成分(主にタンパク質)の一部を認識する記憶細胞が長期で生き残ることによって,感染源を記憶できる.しかし,最近ようやく記憶細胞が生体内のどこで長期に保存されるかについて明らかになり,数百年と応用され続けたワクチンがなぜ効くのか,細胞レベルでようやく今説明できるようになった.しかし,分子レベルにおいては,まだまだ不明な点が多い.さらに,記憶細胞の形成や維持についての研究が進みだしたが,「免疫」の語源にもなる再度感染源が入った際の免疫反応(二次免疫応答)に関しては研究がほとんど進んでいない.どこに維持されているのか,つまり二次免疫応答の開始地点が明らかになった今だからこそ,免疫学の最大の謎の一つである二次免疫応答システムの解明が求められている.この総説では,私の専門でもある,液性免疫における免疫記憶に焦点を絞って解説する.
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